カイトとシュンキがうちに来た日から数日が経ったある日、久しぶりにハルカからメールがあった。

あの一件から、なんとなくハルカを避けていた。

ハルカが本当に噂を流したのかどうかも確認しないまま。

『久しぶり!元気にしてる?今晩よかったら飲みに行かない?ハルカ』

いつものように明るい内容。

『暇してるから行く行く!』

とメールを打ちそうになって、一瞬ためらった。

こんな脳天気にメールの返信打つ私って、本当にピエロみたいじゃない?

ハルカが私のあらぬ噂を流す。

シュンキはカイトをけしかけるために私と付き合う。

カイトはナオトと勝手に約束をして、それが果たせたからって海外赴任を決める。

知らない私をいいことに、皆自分勝手に動いてる。

『何か話でもある?ミナミ』

送信した。

我ながら冷たい返信だと思う。送ってから少し後悔した。

すぐに返信があった。

『ミナミ先輩、何か怒ってる?ハルカ』

『別に。ミナミ』

『大事な話、したいんだけど、今晩は忙しいかな・・・ハルカ』

ハルカがかわいそうになってきた。

そして、そんな意地悪な返信をしてる自分にも嫌気がさす。

長いため息をついた。

私は私なんだわ。誰が私をどう思ったとしても。

『今晩大丈夫だよ。大事な話、私もあるんだ。ミナミ』

『よかった。じゃ、また待ち合わせ時間と場所連絡するね。ハルカ』

最後に、約束ができた自分にホッとする。

なら、最初から優しくすればいいじゃない。

だけどね。少しだけ自分のプライドが頭をもたげた。

きっと馬鹿になんかしてないはずだけど、見えないところで皆が私をせせら笑ってるかもしれないって思ってしまったから。

年をとると、くだらない被害妄想に苛まれることがある。

特に疲れてる時はね。なんて、自分自身に言い訳した。