シュンキは近いうちにまた電話するよと言って帰って行った。

玄関の扉が静かに閉まる音が私を突き抜けていく。

結局、カイトにもシュンキにも何も言えないまま、一人立ちつくしてる。

孤独感にうちひしがれていたその時、

ぐ~・・・

この期に及んでお腹が鳴るとは。

そういえば、仕事から帰ってきてから何も食べてなかった。

腹が減っては戦はできぬ。

よろよろとキッチンへ向かった。

レトルトカレーを頬ばりながらテレビを観る。

気晴らしにとお笑い番組をつけた。

いつもなら笑えるようなシーンに、全く笑えない。

しょうがないので、撮りダメしているドラマを再びつけた。

主人公の女性が密かに思いを寄せていた男性とようやく巡り会えたというような設定。

「んなこと、あるわけない。」

カレーを一口スプーンですくいながらつぶやいた。

ドラマなんて、全て夢物語。現実逃避する私たちみたいな人間をターゲットに作られたもの。

実際は、こんなにうまくいくわけないし。

ドラマみたいな恋愛なんてできっこない。

現実はもっと厳しいのよ。

あれほど、ドラマに夢中になっていた自分がそんなドラマに悪態ついてることが驚きだった。

ドラマの主人公が言った。

『・・・ずっとあなたを好きだった』

カイトに『ずっと思ってた』と言われたことを思い出す。

そんなこと言われても、信じられない。

この10年、ずっと友達だった。

いつもくだらないこと言っては、私を怒らせるカイト。

海外行ってくれたら、せいせいするわ。

ようやく自分一人の時間をもてて、自分磨きに精を出して、今度こそいい男ゲットするんだから。