「ここまで来たら、最初から正直に話そうと思う。話してもいい?」

・・・話してもいい?っていう言い方、カイトと同じだと思って少し笑った。

二人は、やっぱり似た者同士なのかもしれない。

「ミナミさんを紹介してもらう前、カイトからよくミナミさんの話聞かされてた。カイトが君の話をするときは本当に楽しそうだったんだよ。僕の長い付き合いの中で、たぶんカイトはミナミさんに惚れてるって感じていた。ただ、不器用なカイトはその思いをうまく伝えられないんだろうなっていうこともわかってたから、僕が間に入ってなんとかしてやろうと思ったのが紹介してもらう最初の発端だったんだ。これはカイトも知らないんだけどね。」

私は組んでいる手にぎゅっと力を入れた。

「僕がミナミさんにちょっかいを出せば、カイトはきっと嫉妬して君への思いを隠し通せなくなるんじゃないかって企んでたんだ。結局、ミナミさんをだます形になってしまったよね。ごめん。」

シュンキは前髪を掻き上げて、少し寂しそうに笑った。

「だけど、君と二人で会ううちに、僕もどんどん惹かれていった。カイトのためにと思っていたのに、そうすることが途中でできなくなってしまうほどに。これは僕の誤算だった。」

家の前の道路を車が通り過ぎて行く音がする。

「ミナミさんも、カイトを必要としてる。」

まるで車が落としていった言葉のように、シュンキの声が宙に漂った。

「ミナミさんは自分では気づいてないかもしれないけど、僕と二人でいるときもいつもカイトのことを見てた。」

「そ、そんなはずはないわ。」

シュンキは首を横に振った。

「あと、僕は来週転勤が決まったんだ。」

「え?」

「九州の研究所に行くよ。」

シュンキの顔を呆然と見つめた。

「一緒に着いてきてくれる?」

一瞬吸い込まれそうなシュンキのきれいな目に、必死で踏ん張ってる自分がいた。

「ごめんなさい。」