「わかった。そこはちゃんと確認してお前に報告するよ。もしくはシュンキから直接話すようにするから。」

「ありがとう。」

カイトは空になったコーヒーカップをキッチンに持って行った。

「あのさ、ビールはない?」

「ああ、冷蔵庫に何本か入ってるから飲んでいいよ。」

「さんきゅ。」

カイトは冷蔵庫からビールを一本出して持って来た。

プシュッといい音がリビングに広がる。

カイトは缶に直接口をつけてゴクゴクと飲んだ。

「仕事後のビールは、やっぱ格別だねぇ。」

そういいなら手の甲で口をぬぐう。

「さっき、ただ事じゃない顔してたけど、シュンキ以外に何かあったんじゃないの?」

カイトはビールの缶を揺らしながら、私に目を向けた。

ハルカが噂を流したこと。

言うべきか言わざるべきか悩んだあげく、言わないことにする。

だって、そこまで落ちぶれた人間にはなりたくない。

例え、ハルカが私を裏切っていたとしても。

「大丈夫。シュンキのことカイトに話したら随分気持ちも落ち着いた。」

「そう?俺って結構癒し系かもな。」

カイトは歯を見せて笑うと、またビールを飲んだ。

「ほんとあんたっていつもくだらない。」

私はゲンコツで軽くカイトの腕をパンチした。

「・・・あのさ、俺もちょっと話していい?」

カイトはビールをテーブルの上にカタンと置いた。