一人ぼっちだ。

一人ってやっぱり恐い。寂しいよ。

カイト、早く来て。

カイトぉ･･･。

ソファーに突っ伏して、いつの間にか寝てしまった。

どれくらいの時間が経ったんだろう。

玄関のチャイムがけたたましくなっている。

重たい体を起こす。

時計を観ると２２時少し前だった。

「カイト？」

ゆっくりと立ち上がる。立ちくらみ。

壁で体を支えながら、玄関へ急いだ。

扉を開けると、カイトが心配そうな顔で立っていた。

「お前、どんなけチャイムならさせんだよ。スマホも電源入ってないし、どうなってんだよ。」

そう言いながら、カイトは玄関に入ってきた。

そして、私の体をぎゅっと抱きしめた。

「心配させんなって。」

カイトの大きな体はとても熱かった。

あの温泉宿の時みたいに。

一人じゃない。

ここにカイトがいる。

熱い体温は紛れもなく夢じゃなくて現実だ。

「カイトぉ･･･」

私はカイトの背中に腕を回した。

こんな風にカイトと抱き合ったのは、初めてだった。

長い付き合いのカイト。

抱きしめられても、何の違和感もなかった。

それはとても当たり前のようで、そして、どうして今までこんな風にならなかったのか不思議なくらい自然だった。