大きく深呼吸をした。

何かの間違いよ。きっとそう。

「ミナミ先輩、顔色悪いですよ。」

カナトは心配そうに私を見ていた。

泣きそうになる気持ちをぐっと堪えた。後輩の前でなんか泣けない。

まだまだカナトには教えないといけないことがいっぱいあるのに、こんな弱っちい先輩だなんて知られたら指導を受ける気にもならないわよね。

「大丈夫よ、さ、仕事仕事!」

私は引き出しからUSBを取り出してパソコンにつないだ。

カナトは、ようやくパソコンに顔を向けてキーボードをたたき出した。

早く、カイトに会いたい。

話をしたい。全部したい。

ハルカには悪いけど、真実がどこにあるのか確かめたい。

体中が熱を帯びていた。

よくない熱だ。

時計を何度も見ながら、定時が来るのを待った。

なかなか来なかった定時が、ようやく訪れ、定時とともに席を立って更衣室へ急いだ。