「もし、そんな噂耳に入ってきたら、根も葉もない噂だって言っておいて。ハルカにも誰が言ってたか聞いてみる。」

「そっか。じゃ、結婚はまだ、しない・・・んだよな。」

カイトはコーヒーを飲みながら尋ねた。

「うん、しない。」

しかも、昨日の一件があったから更に結婚は遠ざかったんだから。

って言いそうになって口をつぐんだ。

「ミナミ、えらく今日は喧々してるけど、何かあったか?」

カイトはいつも私のそんな微妙な変化に気づく。長い付き合いだからね。

「色々あったのよ。」

「色々?」

「そう、色々。」

「俺でよかったら話聞くけど。シュンキのことか?」

「どうしてそう思うの?」

「俺もちょっとシュンキに対しては気になることがあったからさ。」

もしや、例の彼女のことカイトも知ってるのかな。

「今日空いてる?」

後先のことも、ハルカの存在も何も考えずにカイトの腕を掴んだ。

今私にとって頼れるのは、悔しいけどカイトしかいないような気がした。

「少し残業するけど、必要なら早めに切り上げるよ。」

「助かる。ちょっと話聞いてほしいの。」

「仕事終わったら電話入れる。」

「うん、お願い。」

カイトは片手を上げると、給湯室から出て行った。

ふぅ。

カイトはシュンキの何を知ってるんだろう。

私もカイトに続いて給湯室を後にした。