こういうのを脱力感っていうのかもしれないわね。

カイトはシュンキとのことで心配してくれてたわけじゃなかった。

少しホッとしてる自分がいた。

ハルカとの会話で何か気になることでもあったっけ?

昨日のハルカとの会話を思い出す。

でも、さっき上司に怒られたばっかりで、頭がうまく機能していない。

「何のことかな?」

聞いた方が早いと思った。

「え?聞いてないの?」

「聞いてないって、何の話かもわかんないけど。」

ハルカから聞いた話って、松永さんと一度会ってみるみたいな話しか覚えてない。

そんな話、さすがのハルカもカイトにはしてないと思うし。

「それならいいや。」

カイトはコーヒーを飲みながら、給湯室から出ていこうとした。

思わずカイトの袖を引っ張って引き戻す。

「いいやって何よ。気になるじゃない。」

「いや、昨日ハルカちゃんとお前が飲みに行ったって聞いてたから、てっきりその話してると思ってさ。でも聞いてないならいいよ。」

「いいことないってば。」

「何か俺、すごく口軽い男みたいで嫌だし。」

「あんたは口だけじゃなく全てが軽いって思ってるから大丈夫だし。」

「なんだよ、それ。」

カイトは自分の肩で私の肩を押しやった。