気を取り直すべく、給湯室にコーヒーを入れに行った。

入ると、カイトが壁を見つめながらコーヒーを飲んでいた。

「あ。」

思わず声が出た。

今朝のメール。結局返信ないし。

「おつかれ。」

こちらに背中を向けて立っているカイトに挨拶をする。

カイトは慌ててこちらに顔を向けた。

「お、おう。」

なんとなく、返信がないのと、ひょっとしたらシュンキとのこと知ってるのかと思ってなんだか気まずい。

コーヒーをカップになみなみと注いで、すぐに給湯室から立ち去ろうとした時。

「お前さ。どうすんの?」

カイトの声が頭上から響いた。

カイトの顔を見上げる。

いつになく真面目な顔をしているカイトが、逆に緊張を増幅させた。

「どうするって何が?」

とりあえずしらばっくれてみる。

「昨日のことだよ。」

「昨日?」

やっぱりカイトは知ってるの?

「カイト、まさかあのカフェにいたの?」

喉の奥がゴクンの鳴った。

「カフェ?」

「そう、遅くまで空いてるカフェ。」

カイトはきょとんとした顔をしていた。

「カフェなんて行ってませんけど。」

カイトは尚も真面目な顔で答えた。

「じゃ、あのメールは何?『大丈夫?』だなんて。」

「あ、ああ。あれ。昨日ハルカちゃんと飲みに行って話聞いたんじゃないの?」

は?!

ハルカから話を聞いたって??

思わず、想定外の返答に戸惑い全身の力が抜けていくようだった。

そして、給湯室の壁にもたれた。