ハルカはお水を飲み干すと、こくんと頷いて、立ち上がった。

私も慌ててハルカに続く。

相当気まずかったみたいね。

ちらっと松永さんの方を振り返ると、寂しそうな顔でハルカの後ろ姿を目で追っていた。

あ~あ。

かわいそうに。

完敗だね。恋、破れる。

完全なる松永さんの片思いだったわけで。

松永さんも結構イケメンなんだけどねぇ。ハルカもなかなかの面食いだったりして。

お勘定を早々にすませて、外に出た。

私はハルカの腕を掴んで、自分に引き寄せた。

「もったいないわよ。なかなかいけてるのに、松永さん。」

ハルカは、私から目を逸らしてわざとらしい顔つきで言った。

「そ~ぉ?」

「ほんと、ハルカは誰かと付き合う気あんの?気づいたら、私みたいになっちゃうわよ。」

「別にいいけどぉ、ミナミ先輩楽しそうだし。」

「どこが楽しいのよ。」

ちょっとだけムッとして答えた。

「だって、男前の男友達はいるわ、今度おすすめ物件紹介されるわ。うらやましいったら。」

「男前の友達って誰よ。」

「ほら・・・、結構有名だよ~。」

男前・・・男友達・・・

はぁ~?!

奴しかいないじゃん。

全然楽しいことじゃないし、毎週末うっとうしいだけじゃない。

私は自分の腕を胸の前で組んで、むすっとした顔でハルカを眺めた。

ハルカはそんな私を楽しそうに笑って見ている。

後輩に馬鹿にされてる?!

「怒った。」

私は憮然とハルカに言った。

「嘘、嘘、言い過ぎた、ごめんって。」

ハルカはそれでも笑いながら私に抱きついてきた。

そういうとこが、憎めないって言うか、かわいいんだよね。ハルカって。