「じゃ、ミナミ先輩、もう結婚目前だねぇ。なんだか私も焦っちゃうな。」

「まだまだよ。」

そう言いながら、シュンキとそういう関係までなったものの、幸せかと言えば幸せだけど、不安がないかと言えば不安だった。

その不安は、とても得体の知れない不安。

あれだけシュンキに言われても、まだシュンキを全て信じることが私にはできていなかった。

いつも夜仕事に戻るけど、本当なの?

カズエの言うように一度つけていってみるのも手かも?

なかなか難しいとは思うんだけどね。

「まだまだだなんて、ミナミ先輩はシュンキさんに何か不満でもあるの?私から見たらすごくシュンキさんはミナミ先輩大事に思ってるし、非の打ち所のない男性だと思うけどな。」

「不満っていうか、なんていうかさ。口で言うのは難しいんだけど、ハルカがカイトに思ってるように、シュンキは本当に私でいいのかなぁって。シュンキの腹の奥深くの気持ちは私にはないんじゃないかなって感じる時があるんだよね。」

「例えば?」

ハルカはワインを一口飲んで、つまみを口に放りこんだ。

「いつも夜は仕事だからって職場に向かうんだよね。」

「なにそれ?」

「やっぱりなにそれ?って思うんだ。」

ハルカにまで言われて、少しショックだった。

こういうのっておかしいんだ。一般的に。

「本当に職場に行ってるのかなぁ?私だったら怪しんじゃう。」

「怪しむってことは、その相手を信じられてないってことでしょ?信じられないってとこに不安を感じるんだよね。」

「直接、シュンキさんに聞いてみたら?」

「そんなこと聞けないよー。」

「どうして?不安要素はつぶしていかなくちゃ。だってお付き合いしてるんでしょ?二人は。」

「だけど、本人が仕事って言ってるんだし信じないのはおかしくない?それを更に確認するって、結構うざい女になっちゃいそうでさ。」

「そんなきれい事ばっか言ってたら、本物の相手には巡り会えないわよ。」

ハルカは今日はやけに食いついてくるし、説得力のあることを言う。