「ん?」

スプーンを加えたまま、ハルカの顔を見る。

すると、ハルカは小さい声で「後ろ」って言った。

後ろ?

振り返ると、三人の男性社員がちょうど店内に入ってきたところだった。

「あの中にいる。」

ハルカは視線を落としたまま、更に小さい声で言った。

私は口パクで「まつながさん?」とハルカに聞く。

ハルカは、うんうんと二回頷いた。

もう一度、なるべくさりげなく後ろを振り返る。

一人は眼鏡をかけた背の低い男性、その後ろにはちょっと年配の無精ひげを生やした男性、そして、最後尾には長身でなかなかのイケメンがいた。

この三人だったら・・・やっぱ彼が松永さんかしら?

その三人が少しずつ、私たちのテーブルに近づいてきた。

ハルカは、気まずそうな顔をしてカレーを食べてる。

かなりテーブルに近づいた時、最後尾から歩いてきたイケメンがハルカの方を見て、軽く会釈をした。

ハルカも慌てた様子で会釈をする。

三人は私たちの隣の隣のテーブルに腰掛けた。

すごく微妙な距離。

気まずいだろう二人の空気が、見て取れる。

こりゃ、早めにお店出た方がよさそうね。

ハルカに言いたいこといっぱいあるけど、それはぐっと飲み込んで、ハルカが最後の一口を食べると同時に「出る?」と声をかけた。