玄関の鍵を開けて、シュンキにそのままちょっと待っておくようにお願いする。

その間に部屋をちゃちゃっと片付けた。

トイレも見たけど、幸い前日に掃除していてきれいだった。

「お待たせ。どうぞ。」

「お邪魔します。」

シュンキの声が心なしか緊張していた。

「いつもきれいにしてるよね。」

シュンキがリビングに座りながら言った。

「そうでもないよ。ただ、いつも撮り貯めしてるドラマを見る時は、散らかった部屋で見るのは嫌だからそれなりに片付けてるせいだと思う。」

キッチンからシュンキに向かって言う。

冷蔵庫を確認したら、肝心のタマネギとニンジンをきらしていた。

ご飯は、まだ少し炊飯器に残っている。

どうしようか。

「あのさ、さっきチャーハンとか言ってたんだけど、野菜が足りないの。おにぎりと少しおかず作ってもいいかな。」

「うわ、おにぎり?僕おにぎり大好きなんだよね。嬉しいな。全然オッケー。」

シュンキはソファーから立ち上がると、キッチンまでやってきた。

塩水を手の平にたっぷりつけておにぎりを握っていく。

どちらかというと、塩っ気が多い方が好きな私はいつもたっぷりつけるんだ。

「塩分気にしてる?」

「特に問題なし。」

シュンキは笑って、私が握ってる様子をじっと見つめていた。

「そんな見つめられながらおにぎり握ったことないからなんだかやりにくいわ。向こうでテレビでも見ててよ。」

「カイトの奴にもおにぎり握ったりするの?」

シュンキは急にトーンを落として聞いてきた。

「え?」

おにぎり・・・トーストがなかったとき、何度か握ったことあったっけな。

一つ握り終わって次を握ろうとしたとき。

シュンキが私の腕を掴んで引き寄せた。

え??!いきなりですか?

「おいしそう。」

そう言いながら、シュンキが私の手の平についたお米を舐めた。

体中に電気が走ったような感覚。

「あの、おにぎりまだ作ってる途中・・・」

と言い終わらないうちに私はシュンキの腕の中にすっぽり包まれていた。