その時、シュンキの目線が私の背後で止まる。

いわゆる釘付け状態になっていた。

今まで笑っていたシュンキの表情が一瞬で強ばったのがわかった。

私の後に何かがいる?

何?見てはいけないもの?

恐くて振り返ることができない。

背筋にツーッと冷たい汗が流れ落ちた。

「シュンキさん、どうかした?」

シュンキは慌てて、私に視線を戻した。

「いや、大丈夫。ごめん。」

「顔色が悪いけど。」

それ以上聞いてはいけないような気がしたけれど、気になる。

ゆっくりと後ろを振り返ろうとした時、シュンキが私の手をぐっと握ってきた。

そして、無表情のまま首を横に振った。

「見ない方がいい。」

それって、それって、ひょっとしてオカルト的な??!

やっぱり?!最近ついてないなと思ってたけど、そのせいだったの?!

でも、私には霊感なんてこれっぽちもない、振り返ったとして何も見えやしないわ。

私の手を握っているシュンキの手に力が入ったけれど、思い切って振り返った。

一つテーブルを挟んだ向こうに、後ろ髪を一つに束ねてオレンジ色のワンピースを着た女性がこちらを向いて座っていた。

その女性の前にはスーツを着た男性座っている。こちらからは背中だけだったけど。

こんなに鮮明に見えるものなの?明らかに実在する人間だということがすぐにわかって安心する。

半信半疑で、思わずそのオレンジ色のワンピースの女性を凝視した。

女性は私と目が合うとにっこりと微笑んでこちらに向かって会釈をした。

やっぱり、普通の人だ。見えないものが見えてるんじゃない。

顔を前に戻して、シュンキを見る。

無表情まま、シュンキはまだその女性を見つめていた。

「知ってる女性?」