一ヶ月ほど前だったか、ハルカに相談されたことがあった。

上司の紹介で引き合わされた、営業マンの松永タケシという男性に、何度か食事に誘われているらしかった。

ハルカは、今ひとつ気が乗らないようで、さりげなく断ってると言うもんだから、

「せっかくのご縁なんだから、何でものっかちゃいなさいよ!」

ってアドバイスした。

それから、しばらくそっとしておいたんだけど・・・。

「ミナミ先輩に言われて、とりあえず一度食事に行ったわ。」

「それで?」

「それだけ。」

「それだけ?」

「だめ?」

だめ?って言われてだめって言う立場ではないのだけど。

彼氏が欲しいって言うわりにはいつも冷静なハルカが、時々理解できないことがあった。

「じゃ、あんまりだったの?」

「いい人だったよ。ほんと、バリバリの営業マンって感じでさりげない気配りもできて、優しくて。」

「それだったら、もう少し付き合ってみてもよかったんじゃない?」

「だよね。私もそう思った。」

「松永さんって、私見たことないなぁ。どんなタイプだろ?」

カレーを口に頬ばった時、ハルカの視線が一瞬泳いだ。