「研究職だからさ、休日もいつも出勤してるって言ってた。それは以前からみたいだったけど。」

「あやしいなぁ。」

カズエの声のトーンが上がった。

「もし、仮によ?職場に本当に行ってるとして、その職場で誰かと落ち合ってるなんてことあったりして。」

「えらく勘ぐるのね。」

「だって、ミナミの口からシュンキさんの欠点が全く出てこないって時点で、何かありそうな感じだったもん。最初から気をつけてって言ってったでしょ?」

「だけど、そんな不誠実な人には見えないんだけどな。」

「見えない人に限って怪しい時があるんだって。」

確かに。

ユウヤだって、絶対浮気するなんてタイプじゃないもの。

これまでは。

カズエの指摘は完全に否定することはできない自分がいた。

だって、休日毎回職場に出るって、やっぱりおかしい。

しかも、例の既婚者の女性もまだ一緒の職場だったりしたら、落ち合うってこともあり得なくはないものね。

いやいやシュンキに限ってそんなことあるはずもないし。

だったら、「お付き合いしよう」なんて提案しないよ。

しかも、カイトの親友でしょ?カイトに筒抜けなの絶対わかってるはずだもの。

「今度、デートの後、シュンキをつけてみなさいよ。」

カズエは小さな声で言った。

「嘘でしょ。そんなこと私出来ないわ。」

「敢えて、職場の近くのデート希望してさ。そしたらつけやすいじゃない?」

「もしばれたら、軽蔑されそうだわ。」

「だからばれないようにするのよ。」

「んなことしたこともないのに、できるなんて断言できないし。」

カズエは時に、口があんぐりしちゃうような提案を平気でする。