「なんだかねぇ。私の気持ちがすっきりしないからか、全てが疑わしく見えてくるんだ。」

だって、疑われるようなことしてるもの。

心の中でつぶやいた。

「二人の仲は、これまで通り?」

「普通にはしてるけど、やっぱりね。少しぎこちないような。最近スマホばっかいじってるし、夜も遅いしさ。仕事だっていうけど、そこまで私も追跡できないしね。」

カズエは軽くため息をついた。

話題を少し変えよう。

「結局、色々あった結婚記念日は何もらったの?」

「ネックレスだったわ。小さなダイアモンドがついてる。別に誰かに相談するほどのものでもないんじゃない?っていう至って普通のデザインだった。」

「そうなんだ。」

やっぱりユウヤの奴、嘘ついてるんだろうか。

「今日はユウヤは遅いの?」

思い切って聞いてみる。

「ああ、昨日から地方に出張で今日も遅くなるって言ってた。」

あー、ビンゴだ。

ユウヤもまさか私に見られてるなんて思いもしないだろう。

人ごとだけど、かなり凹んだ。

「ところで、私もさ、ミナミに聞こうと思ってて。シュンキさんとはどうなの?」

「うん、相変わらず優しくしてくれるし、いい感じでお付き合いしてるわ。」

「そうなんだ。粗は少しは見つかった?」

「粗は・・・まだないかな。」

「過去の女の話とか聞いてない?」

聞いた。

「男って、過去に深い傷を負うような恋愛してたら、トラウマになってる可能性あるから気をつけてね。あと、引きずっちゃうような恋愛してるのもパスだよ。」

引きずっちゃうような恋愛か。

例の既婚者の女性。

本当にシュンキと彼女とは切れてるんだろうか。

切れてるから、私と付き合おうとしてるわけだし。

キスだってしてきたし。

「謎めいた行動してたら要注意だからね。ない?そんなの。」

カズエは一気に話し終わると、私の答えを待った。

「いつもデートの後は仕事行っちゃう、ってことくらいかな。」

「なにそれ?」

カズエは明らかに不快な声を出した。