カズエ、大丈夫かな。

いつもは気丈なカズエだけど、こういう予想外な出来事に遭遇したときにはすごく弱い。

こないだ「旦那が浮気してるかもしれない」って泣き出すような、もろいところがあるから。

こんな時間、忙しいかなと思いつつ、電話を鳴らした。

ユウヤが入っていったお店をにらみつけながら。

「はい。」

「もしもし、カズエ?ミナミです。今忙しい?」

「あー。ミナミ!丁度よかった。私も電話しようと思ってたの。」

「どうしたの?」

「っていうか、ミナミはどうしたの?先に聞くわよ。」

「えーっと。実はね。」

と言いだしたものの、なんて言おうか考えていた。

そうそう。

「私さ、先週末色々あってぎっくり腰なっちゃってさ。」

ぎっくり腰ありがとう。

「ぎっくり腰?なんでまたぁ。」

カズエは驚きと心配そうな声が混じり合っていた。

「話せば長くなるんだけどね。週末、急遽温泉旅行することになっちゃって。その旅先で重たい荷物持った時にやっちゃって。」

「温泉旅行?ってひょっとして前いってたイケメンさんと二人で?!」

「違う違う。もちろんシュンキさんも一緒だったけど、カイトとその彼女・・・になるかもしれない人と4人でね。」

「またなんだか複雑そうなメンバーね。」

「そう?」

「それにしてもぎっくり腰だなんて痛かったでしょう?大丈夫なの?」

「随分よくなったわ。仕事にも行ってるし。今病院の帰り。」

「そうなんだ。それで急に電話くれたの?」

「う、うん。あれからどうしてるかなーって思ってさ。」

「あ、旦那とのこと?」

カズエの口から旦那という言葉が出て少し緊張する。