あれは、たぶん、久しぶりだから私の記憶違いじゃなければ、だけど・・・

カズエの旦那、ユウヤ、だった。

隣にいる女性はもちろんカズエではない。

私たちよりももっと若くて、髪つやもいい、スタイルのきれいな女性だった。

あの女、誰?

ひょっとして、カズエがゴルフ行くって言ってた日、車に乗せてた相手じゃないでしょうね?

お店から20メートルほど離れた場所で、凝視した。

ユウヤは、いつになくかっこつけた感じで、その女性に優しく微笑んでいた。

女性もそんなユウヤを見上げて、嬉しそうに笑っている。

これは、どういうこと?

結婚記念日の贈り物を買いに付いてきてもらったまでは、なんとか説明つくけど、定時前に二人でクレープ食べるって、どういう関係?

出張一緒に行ってた帰りに、ちょっとさぼっちゃえー!的な??

なんだかんだいってもカズエ達夫婦は安泰だと思っていたのに。

カズエの嫌な勘は当たっていたってことなんだろうか。

二人はクレープを買うと、店の奥へ消えていった。

見てはいけないものを見てしまって、動悸が激しくなっていた。

どうして見ちゃったのよ。

見たくなかった。知りたくなかったのに。

今度、カズエとどんな顔して会えばいいの?

男って、やっぱり浮気するものなの?

そして、一度深みにはまったらなかなか抜け出せないものなの?

自分の中にいる誰かに質問攻めだ。

でも何の答えも返ってこなかった。

子供のことを思い、今はまだユウヤにそんな話ふっかける勇気がないと言っていたカズエ。

あなたの判断は間違ってなかったわ。

きっとそのうちユウヤも頭を冷やして、この彼女と別れるわ。

このきれいな彼女と。

きれいは、余計か。