カイトの背中を見送りながら、私とシュンキとのこと結構気にしてるんだと思った。

それは、シュンキに対する友情から来るものなんだろうけど。

・・・結婚。

したいと思うけど、そういう状況になってる自分を想像することすら今はまだ難しい。

自分の奥の方の何かが邪魔するのよね。

コピーが全て終わった私は、コピー機の近くにある共用机で作業を始めた。

今日は3時に早退して病院に行くことになっている。

さっさと済ませちゃおう。

カイトやシュンキと飲みに行きたい気持ちはあったけど、さすがにまだそこまで自分の体が回復していない。

とにかく、何よりもまず無理をせず元の体に戻すことが先決だわ。

「ミナミ先輩。」

ふいに声がかかった。作業の手を止めずに、声の方を見た。

また、お前か。三輪カナト。

「結局、どちらを選ぶんですか?」

にやけた顔で聞いてきた。

「どちらって何が?」

「男前二人翻弄しちゃって。もてますよね。意外と。」

意外と、っていうのがかなり余計な言葉だわ。

「別に翻弄してる覚えはないし。男前二人も存じ上げませんけど。」

かなりいやみっぽく、作業の手をゆるめることなく突き放す。

「あまり長いこと二人引っ張ってるとそのうち、二人ともに逃げられますよ。」

「うるさいわ。あんたには関係ないし。」

今日はやけにしつこいカナトに噴火寸前だった。

「悪いけど、このコピーの束、倉庫の机の上に置いてきて。」

「これ、全部ですか?」

「そう、全部。私の腰のこと心配してるってさっき言ってたじゃない。とてもじゃないけど私運べないから。」

そして、私はゆっくりと立ち上がって、自分の席へ戻っていった。

きっと困った顔をしているであろうカナトを置いて。