何のせいなのかわからないけど、まだ鼓動が早いままだった。

シュンキの頬、シュンキの胸板、シュンキの冷たい指、そしてシュンキの体のぬくもりが私の頭の中をふわふわと漂っていた。

久しぶりに男の人にあんな風に抱きしめられて、優しくされたことに感動していた。

シュンキはとてもいい人だ。

本当に、運命の人かもしれない。

正直、こんなドラマみたいな展開に自分自身付いていけてなかったりするんだけど。

扉がトントンとノックされる。

「はい。」

声だけ出した。

「ミナミ先輩、どう?さっきシュンキさんが無事湿布貼れたって戻ってきたから。」

「あ、うん。ありがとう。ちゃんときれいに貼ってくれたよ。」

「そりゃよかった。」

ハルカはそう言いながらニヤニヤしていた。

「何よ。」

「湿布貼るだけで済んだ?」

「湿布貼るだけでって・・・何馬鹿なこと考えてんの!」

私は、「もー」と言いながら半分笑いながら口をとがらせた。

「これだけ腰痛い人にはいくらシュンキさんでも何も手を出せなかったか。」

「当たり前よ。」

そう言いながら、今朝キスされたことを思い出していた。

「これから少し飲んでくるけどいい?」

ハルカは私の体をさすりながら聞いてきた。

「いいよ。せっかくだし飲んできなよ。私は適当にしてる。っていうかここから動けないわけだけどさ。」

「はは、座ったままで大丈夫?」

「逆に寝ちゃったら次起きれなくなりそうだから今夜は一日こうしてるよ。」

ハルカは、部屋の押し入れから毛布を一枚出して私の膝にかけてくれた。

「部屋、冷房聞いてるし、一応かけとくね。」

「ありがと。じゃ、カイトと楽しんできて。」

「うん。シュンキさんからも色々情報聞き出しておくわ。」

「何の情報よ。」

「また報告する。」

ハルカはいたずらっぽく笑って、部屋から出て行った。