「いや、ハルカちゃん一人じゃ今のミナミさんの体を動かして湿布貼るのは難しいと思う。僕がやるよ。」

「え?でも。」

「恥ずかしい?」

シュンキの顔が私の顔に近づいてきた。顔がかーっと熱くなる。

「恥ずかしいに決まってるし。」

うつむいて答えた。

「大丈夫、恥ずかしくないような体勢で貼ってあげるからさ。安心して。」

シュンキは私の頭をポンポンと2回叩くと、私の正面に座った。

「少し痛いけど我慢してね。」

そう言うと、私の両腕をシュンキの肩にのせて私を抱きかかえるようにして上体を起こした。

私は今完全にシュンキに抱きついて全身を預けてる格好だ。

私の頬にシュンキの頬が当たっている。

「大丈夫?」

「あ、はい。」

っていうか、多分すごく痛かったんだろうけどそれ以上にこの体勢に動揺していた。

「少し背中の服めくるからね。」

「はい。」

このドキドキがシュンキにばれてしまうんじゃないかそればっかりが頭の中をぐるぐる回る。

シュンキの冷たくて細い指が私の腰に当たった。

思わず体がピクンとなる。

「痛たッ・・・」

声がもれる。

「ごめん、あともう少しだから。」

ヒンヤリとしたものが私の腰を覆った。

はぁ、気持ちいい-。

腰の痛みが吸い取られていくようだった。

シュンキはゆっくりと私を元の体勢に戻した。

「はい、終わり。とりあえず貼ったからこれで今晩は我慢するしかないかな。」

「あ、ありがとう。助かったわ。確かにハルカじゃ重たい私をこんな風にはできないものね。」

私はくすっと笑った。

シュンキも照れたような顔で笑った。ほんのり頬が赤い。

相当体力使ったんだろうね。申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「シュンキさんも、カイト達とゆっくりしてきて。私は大丈夫だから。ハルカも皆と飲めるの楽しみにしてたのよ。」

シュンキはこくんと頷くと、私の肩に手を置いた。

「ミナミさんのこと心配だし、早めに切り上げてハルカちゃんには戻ってもらうよ。ごめんね。少しだけ僕も飲んでくる。」

「うん、気にせずごゆっくり。」

私はシュンキにバイバイと手を振った。

湿布のお陰が随分楽に動かせるようになってる。

この分だと、明日の朝にはもう少しましになってそうだな。

シュンキが出て行った。扉がバタンと静かに閉まる音がする。