エレベーターに乗りながら、やっぱり荷物、ハルカに持ってもらえばよかったと後悔する。

お酒が多いからか、若干重い。

疲れた体にはちょっと堪える重さだった。

部屋の階に到着し、ぶらさげていた荷物を「よいしょ」と持ち直した。

ハルカが先に部屋に行ってカギを開けてくれた。

あー、ようやくだ。

玄関に入ってすぐに荷物を置いた。

グギッ。

鈍い音と痛みが背中を突き刺した。

そして、前屈みのまま体が動かせない。

何、これ?!

少しでも動こうとすると痛みで目の前がくらくらする。

「あれ?ミナミ先輩どうしたの?」

動けなくなった私にようやく気がついたハルカが近寄ってきた。

ハルカが私の肩に手を置くだけで、痛みが全身にかけめぐる。

「ごめん、ちょっと支えてくれない?」

声を絞り出して助けを求める。

「ちょっと、大丈夫?」

「やばいかも。」

そう言いながら、ハルカの肩を借りてようやく肘掛けイスに座った。

「ぎっくり腰やっちゃったかも。」

痛みで顔をゆがめながらハルカに言った。

座っていても痛みはまだ尚続いている。

どんな体勢になったって、痛みがとれる気配はなさそうだ。

ぎっくり腰なんて、初めてだった。

これが、皆が恐れるぎっくり腰ってやつなのね。

よりによって、こんな場所で。

「重たい荷物持たせちゃったからだね。ごめんね、ミナミ先輩。とりあえず、立花さんとシュンキさんに報告してくるよ。病院行った方がいいかもしれないし。」

「いい、いいって!少し休めば歩けるようになるって。」

こんな無様な格好をカイトに見られたら先祖代々まで語り継がれるに決まってる。

「でも、相当痛そうだよ。病院に行った方がいいかもしれないし。」

「この豪雨で病院なんて危ないし、ただの軽いぎっくり腰だから今晩おとなしく寝てれば大丈夫だと思う。」

必死に痛みと戦う。

正直、やばい痛みだった。

「じゃ、ハルカ。申し訳ないけど湿布だけ下で買ってきてもらえないかな?ないかもしれないけど。」

「うん、わかった。」

ハルカはすぐに部屋を飛びだして行った。

はぁ、なんてこと。