ハルカは「うん、遠慮なく。」といらずらっぽく笑うと、簡単にお化粧を済ませた。

恋する乙女って感じだよね。

少しでもきれいに見られたいもんね。

私もそりゃシュンキにはすっぴんより、それなりに決めた顔で会いたいけどさ。

今日はもう疲れちゃったし、食事が済んだらすぐ寝ちゃいたいのよね。

すっぴんで現れるなんて罪だと思うけど、そこは許してもらおう。

これが私なんだし。

自分の中で勝手な理由で納得し、ハルカと食堂へ向かった。

安い宿だから、食事は基本大食堂だ。

メニューもメインを決めたら、ほぼ皆一緒のコース。

一番安いコース料理だから、あまり期待せずに食べた。

カイトは、味覚障害なのか普段どんなもの食べてんだか知らないけど、「おいしいおいしい」と言って口いっぱいに頬ばって食べている。

まぁまずくはないけど、そこまでおいしいおいしいって食べるものでもないような気がしていた。

シュンキは相変わらずクールに品よく食べている。

そして私の顔を見て言った。

「食事の後どうする?部屋に集まってお酒でも飲む?」

「いいねぇ。お酒。」

カイトは楽しげに笑った。

「準備できたら、俺らの部屋にこいよ。お酒は適当に買っておくし。」

うわ。面倒くさ。

私はねむたいのよ。ほんと疲れてるし。

「いいですね!是非後で伺います!」

ハルカははしゃいだ声で同意していた。

まさか、ハルカ一人で男二人の部屋に行かせるわけにはいくまい。

別にこの二人なら何の間違いも起こさないとはわかってるけど。

やっぱり私がハルカと一緒に泊まるってことで、ハルカの御両親には承諾得てるわけで。

責任ってもんがあるからね。

「おい、ミナミはどうするのさ。ばばーはもうおねむか?」

カイトがまた品のない口調で聞いてきた。

「はいはい、私が行かないと盛り上がらないでしょ?行きますよ。」

お茶を飲みながら答えた。

「よし、決まり。じゃ、また後でな。先に帰って部屋片付けとくわ。」

カイトは立ち上がって、シュンキと二人並んで先に部屋へ帰って行った。