道は思ってたよりも空いてて、2時間ほどで目的地に到着した。

温泉街の香りが漂う。

私も大学の頃、友達と何度か行ったことがあった場所だった。

「いいねぇ、こういう雰囲気。温泉も色々あるみたいだしさ、どの温泉にする?」

観光案内所から温泉マップをもらってきたカイトは皆に見せた。

ハルカが真っ先に言う。

「お肌が一番つるつるになりそうなお湯がいいな。」

「やたら、お肌お肌って、ハルカちゃん十分きれいじゃん。」

カイトはハルカに言った。

へー、そんなこと言うんだ。私にはそんな褒め言葉一度だって言ったことないくせに。

まぁしょうがないけどね。

「肌にいいお湯だったら、ここかな。美肌の湯って書いてある。」

シュンキがマップを指刺した。

「ほんとだ、ここから近いし。行ってみようか。」

私も同意する。

「シュンキの言うことなら、あっさり同意するんだな。そんな素直なとこ初めて見たわ。」

カイトが嫌味ったらしく言った。

「そぉ?」

私もしらばっくれた顔で、「さー早く行こう!」とハルカの腕を掴んで歩き出した。

不満そうな顔で、カイトはシュンキと後からゆっくりと付いてくる。

「なんだか楽しいわ。」

私はハルカに腕を絡めて言った。

「そうだね。ミナミ先輩とも、こんな遠出したの初めてだし。温泉に一緒に行くのも初めて。」

ハルカは私の頭に自分のおでこをぶつけながら笑った。

ほんと、かわいい奴。

10分ほど歩いたところにその温泉はあった。

「じゃ、ここからは男女別々だね。」

私は男二人に手を振った。

「次の湯は混浴にしようぜ。」

カイトが笑いながら投げかけてきた。

ハルカは真っ赤な顔でうつむいてる。

「ばっかだね。カイトって。本当におばか。」

ハルカの肩を抱いて、女湯の方へ入って行った。