「よかったら一緒に過ごさない?」

シュンキは眼鏡を上げながら私をまっすぐ見た。

「ええ。是非。」

私もにっこり笑ってシュンキを見つめ返した。

シュンキはとてもきれいな目をしている。

誰だってこんな目で愛をささやかれたら参っちゃうよね。

「どこか行く?」

私は自分のコーヒーを飲みながらシュンキに尋ねた。

シュンキはしばらく考えていた。

「ここで過ごしちゃダメ?」

ここでって、うち?!

「うちで何するの?」

そう言いながら、何する・・・へっ、まさかのまさかよね?

シュンキの視線から目をそらした。

「ミナミさんさえ良かったら・・・。」

心なしかシュンキの顔が緊張したように見える。

なになに?

思わず体がきゅっと硬くなった。

その時、ピンポーン、ピンポーン!

と玄関のチャイムが鳴り響いて、玄関の扉が開いた。

「おい!不用心だぞ、ドア開けっ放しで。」

そう言ってがさつに入ってきたのは、あいつ、カイトだった。

入ってくるなり、私とシュンキの顔を交互に見た。

カイトの表情がひきつったのがわかった。

「ごめん、お邪魔虫だな。」

そう言うと、くるっと背を向けて早足で玄関に向かって行った。

「ち、ちょっと待ちなよ!」

どうしてか自分でもわからない。

だけど、背を向けたカイトに呼びかけた。

カイトがくるっと顔だけこちらに向ける。

「ほんと、ごめんって。邪魔する気は毛頭ないし帰るわ。」

だけどさ、今ここでカイトが帰っちゃったら、シュンキとこの変なムードのままでやなんだもん!

「せっかく久しぶりに来たんだし、シュンキさんもいるからコーヒーでも飲んでいってよ。」

声を振り絞るようにカイトに言った。