「本当に?」

ハルカは真っ赤になったまま、上目づかいで私を見上げた。

「うん、本当。このまま順調にいけば、結婚もあり得るかもよ。」

私はにんまり笑いながら、ハルカのおでこをつついた。

「そうなったら嬉しいな。」

ハルカは笑った。

「だけど、立花さんて時々ふっと考え込んでこっちの話聞いてないことあるんだ。」

「へぇ。珍しいね。」

「珍しい?ミナミ先輩といるときはそんなことない?」

「そうだね。考え込んでるような渋い表情してるのは見たことない。大抵がさつな格好でガハガハ笑ってるか、私の見てるドラマにけちつけるかしかしないもん。」

「そっか。」

ふいにハルカの表情が沈んだように見えた。

あ、あんまりカイトと仲良しみたいな話しちゃよくなかったかな。

「きっとさ、今仕事が忙しいんじゃない?そんなこと言ってなかった?」

「ああ、そういえば、ちょうっと上司から色々相談されてるみたいなこと言ってた。内容まではわからないけど。」

ふぅん。そうなんだ。それは私も知らないな。

「だからだよ。ハルカが気にする事じゃないって。そのうち、そういう話もしてくれるようになると思うよ。あいつ、黙ってられないタチだから。」

あ、また余計なこと言ってしまった?!

あんまりカイトとの個人的な話はしない方がいいよね。

だって、ハルカはこんなにもカイトのこと気に入ってるんだもん。

そのまま二人しばらく黙ったままカレーを食べた。

ハルカはじっと何かを考えているようだった。