「カイトこそ、どうなのよ。結婚する意志はあるの?」

「もちろん。」

「じゃ、本気で探さないと。体の相性が合わないから別れたとか言ってる場合じゃないんじゃない?」

「でも、体の相性って大事だぞぉ?」

カイトはニヤニヤといやらしい笑いを浮かべて私に顔を近づけてきた。

「いやらしい顔。」

そう言いながら、近づいてきたカイトの頬を軽く叩いた。

カイトはおかしそうに笑う。

そんなカイトを見て、私もおかしくなって笑った。


「馬鹿だねぇ。カイトは。20代の頃から全然変わってない。それじゃ無理だわ。結婚。」

「無理なのかね?」

「だいたいあんたが言う体の相性って、私にはよくわかんないわ。そんなに男女間で大切なものなの?」

「大切だね。ミナミはそうは思わない?あ、そんなに男性経験ないか?」

私の前に投げ出されたカイトの脚を無言でバシっと叩いた。


「一回、俺とやってみる?」

カイトは不適な笑みを浮かべて、ソファーの下に座っている私の横に滑るように並んだ。

そして、私の肩を抱いてきた。

な、何?!コーヒーでよっぱらってんの?

カイトのがっしりした腕の中に包まれている自分が、それほど不快な気持ちになっていないことが意外に思いながら。

「カイトとは無理。」

「どうして?」

「だって、友達だもん。」

「あっそ。」

カイトは急にふてくされた顔で私から離れた。