俺が即座に否定すれば、祖母上は首を傾げた。


「あらそう? 滅多(めった)に人を寄せ付けない貴方が、双葉さんとはいつも競い合ってると皆さんから話を聞きますよ?」

「それは、双葉が(しゃく)に触るようなことばかりを言ってくるからです。別に仲が良いというわけではありません」


「まあ、でもね。双葉さんの見る目はたしかだとは思いませんか? 彼が調べ上げて下さった七瀬 伊万里さん。彼女はとても働き者で優しい心根の方です。わたくしは常々、貴方には囲われて咲き乱れる美しい花よりも、野に咲く可憐な花が似合うと思っていましたの」