家に帰ってもすぐに会えるわたしとご飯を食べて何が嬉しいのか良く分からない。

「樹は友達はちゃんとできたの?」

「出来たよ」

 彼はブレザーの上着から、携帯を取り出し、わたしに見せる。

「見ていいの?」

「別にいいんじゃない?」

 樹は興味のなさそうな顔をする。

 彼の言葉に甘えアドレス帳を表示すると、ずらっと男女問わずに名前が並んでいる。

その中にはわたしのクラスメイトの女の子の名前まであった。

 彼の周りの人は樹の意味不明な行動を気にしていないのか、それともあんな風に超解釈するかのどちらかだろう。

 顔がいいとあんな感じで自由に解釈してくれるのだろう。

 見慣れたわたしでさえ綺麗な顔だと思うくらいだ。

 けれど、その内面は謎めいていて、彼が何を考えているのか分からない。

携帯を見られて平気というのも変わっている気がする。

 わたしは携帯を樹に返す。

 同じ学校と行っても見知った名前も少なく、ただ眺めることしかできなかったのだ。

 ただ、彼には友人が多いのだろうということだけは分かった。