放課後になると、寝癖はほぼもとに戻っていた。

「じゃあね。体調悪いなら早く帰ったほうがいいよ」

 わたしは心配してくれた利香に会釈をして、彼女を見送った。

 樹にメールを送ろうとするが、文章を打つ気がせず、イスに座る。

 あれから気分は悪かったが、なんとか倒れずにはすんだ。

 放課後まで何とかして残っていないといけないという気持ちが、わたしの気力を支えていたのかもしれない。

 このままではいけないと、再び携帯を手に取った時、ちょうど樹からメールが届いた。

 少し遅くなるらしく、先に帰っていてもいいというものだった。

 わたしも用事があるので、用事が終わったら連絡してほしいとメールを送っておいた。

 彼女と待ち合わせをしている図書館棟の入り口まで行く。

 だが、彼女の姿はどこにもない。

 図書館棟という名前の通り、校舎と渡り廊下で行き来はできる。

二階と、わたしのいまいる一階。そして、図書館棟の中にも機材を置いている部屋もあるのだ。

もっと正確に場所と時間を聞いておくべきだったと思ったとき、図書館棟の裏にある花壇から足音が聞こえる。