(あれ、なんか騒がしい。)
物理教室がやけに騒がしかった。
教室のドアを開けた瞬間
その理由がわかった。
「先生!何歳?」
「彼女とかいるの?」
女子が先生を囲む。
私も気になって、先生に目を向ける。
(あ、昨日の人だ!)
驚きながらも
自分の席へと向かう。
「はーい!みんな席ついてー!授業はじめるよー!」
先生の声とともに
みんながぞろぞろと席へと戻る。
「いまさっき、授業って言っけどどちらかというと自己紹介かな。笑」
(また自己紹介か…)
そんなことを思いながらも始まる自己紹介。
「えっと、次は…
石山愛梨さん!」
「あっ、はい…」
席を立って自己紹介をする。
終わろとして席に座ろうとした時
「昨日怪我大丈夫だった?
結構思いっきり当たった気がしたから心配で。笑」
「あ、大丈夫です…」
小さな声で言う。
「そっかそっか。良かった。じゃあー、次の子!」
(覚えててくれたんだ)
少しだけ、
少しだけ嬉しかった。
(先生覚えててくれたんだ…)
そう思いながら帰る準備をする。
チロリン♪
(たかちゃんからメールだ)
゛ごめん、土曜日遊べなくなった。ほんとにごめん゛
(遊びたかった…)
そう思いながらも
“わかった”とだけ返事をする。
(よし、帰るか。)
帰ろうとした時
「愛梨ちゃん!」
誰かが呼ぶ声がする
「愛梨ちゃん、あのさ!LINEとかしてる?」
一緒クラスの子だ。
「してますけど…」
「え、まじ?!教えてもらってもいいかな?」
初めてクラスの子に話しかけてもらえて嬉しかった。
「あ、はい。わかりました。」
「…よし!完了!夜でもLINEするね。
じゃーね!」
(明るい子だな…)
羨ましく思う
(あんな子になりたい…)
ふと時計を見る。
(もう四時じゃん!)
急いで教室を出る。
今考えれば
そんなに急ぐ用事なかったのにね。
(今日のご飯、何にしようかな…)
そんなことを考えながら家へと向かう。
もう気がつけば6月。
梅雨明けで蒸し蒸しして暑い。
(学校だるいな…)
少しは馴染めたとは言え
やっぱりまだ不安。
(最近たかちゃんからメール来ないな…)
ブーン、ブーン
授業中に携帯がなる。
先生にバレないようにそっとメールを確認する。
(今日話がある。駅で待ってる。)
ただそれだけだった。不安になる。
(別れ話とかじゃないよね…)