早川のことをしつこく聞いてくるゆうきをなんとかかわしつつ、
話題はみんなの近況や、宿題の進行具合へと移っていき…


「元気出して」

「またメールするね」


なんて、よくあるセリフでお開きとなった。

急に静まり返った家の中が落ち着かなくて、

電源を入れたTVに映し出された天気図。

もちろん、予報は今日も明日も『晴れ』、おまけに今夜も熱帯夜だって。

わかってはいたけど、やっぱりそうなんだって思うと、余計に堪える。

TV画面を眺めつつ、飲み残されたペットボトルのふたを閉めていると、

ピンポーン!

ふいにインターフォンが鳴った。


「はぁい!」


誰か忘れものでもしたのかと思って、

そのまま玄関へパタパタ走って行き、

のぞき穴からのぞいてみると、

そこにはみかが立っていた。


何忘れたんだろ?


首をかしげつつ鍵をカチャリと開けた途端、

ものすごい勢いでドアが開いて。


「おじゃまします!」


その勢いに圧倒されて、呆然とする私を玄関に置き去りにして、

みかはさっさと靴を脱ぎ、リビングへと突き進んでいく。


「ちょっとぉ、みかー?」


慌てて鍵をかけ、追いかけて行くと、

みかはソファの真ん中に沈むようにふんぞり返っていた。


「かりん、そこ座って!」

何?なんか怒ってるような…。

「みか、忘れ物取りに来たんじゃ…」

「いいから座って!」


何がなんだかわからないけど、

どうも戻ってきた理由は別にあるらしい。



座らなきゃ何も始まりそうにないな…。



言われるままにその場に腰をおろした。


「かりん、あたしに隠してることあるよね!」

「え!?」

「あるよね!!さっき、全部話してないよね?」

「な、何言ってんの、やだなぁー、ははは」


なんでもうちょっとうまく笑えないんだろ。

自分でもイヤになるくらい、ウソつくの下手なんだよね。