なっちゃんが何の悪気もなく、不思議そうに首を傾げる。

「かりんちゃん。確か海行ったのって、おとついだよねぇ?」

「あの、えと、だから、」

「あのねぇ、かりんは、私とかゆうきとは違って、

隠し事とかできるタイプじゃないんだからね!

どうせバレるんだから、最初から正直に言った方がいいって」


諭すようにみかが迫ってくる。


「バカだねぇ。
余計なこと言うからバレるんだって」


ゆうきは床の上で笑い転げてるし。


「慣れないことするから・・・」


なっちゃんにまで言われると、

余計トホホな気分になる。


「別に隠してたわけじゃ・・・、
関係ないから言わなかっただけだよ。」

「ふーん。で?昨日がどうしたの?」


もう誰もお菓子に手を出そうとはしなかった。

三人とも私をじっと見つめて、話しだすのを待っているのだ。


「・・・ノートをね、英語のノート、借りにきて、」

「「「借りに来て?」」」


こんな時だけ息ピッタリだし。


「・・・帰った」


「はぁ?それで終わりー?」


「往生際悪いー。」


「もう全部吐いちゃいなって!ラクんなるよー。」


刑事みたいなセリフ言って、ほくそ笑んでるみんなの顔がコワイ。


「言うわよ!!言えばいいんでしょ、言えば。
昨日ノート借りにきた早川にも、みんなと同じようなこと言われたの!
人のことフラレてかわいそうな人みたいに・・・。
レイナさんが相手じゃ、勝ち目ないみたいに言われてさ」


自分で言いながら、何もかもが情けなくなってくる。

改めて口に出してみて、目の前に突きつけられる現実。

目をつむってみたところで、何も変わらないのだ。


「ま、認めたくない気持ちはわかるけど。
フラレることは恥ずかしいことじゃないんだからね。
お子ちゃまなかりんには、いい経験って気もするし。」


慰めてくれてるんだか、よくわからないみかの言葉に、力なく頷く。


「男目線だから、余計説得力あるよねぇ」


「ある意味トドメかも」


次々に地雷を踏んでくれる二人の言葉に打ちのめされながら、
今さらだけど、『失恋』って二文字が頭に浮かんだ。