横目で睨みつける私のささやかな反撃なんて

気にも留めず、


「で?昨日のアレ、どういうこと?」

「へ?」


すっかりいつもの修ちゃんの口調にもどっている。

あんまりエラソーに上から目線で聞いてくるから、

呆れるのを通り越してびっくりして。

なんとも間の抜けた返事をしてしまった。


「約束しただろ!

ちゃんと話してくれるんじゃなかったっけ?」

「え?別に、…何もないよ!

ていうか、昨日アイツにいろいろ聞いてたじゃない。

知ってるんだからね」


私がいない間に早川とコソコソ話してたの、

知らないとでも思ってるの?


「そりゃ、両方の言い分聞かないと、不公平だろ?」


なんでそんな嬉しそうな顔するかなぁ?

なんか心配して損したってカンジ。

その話はもう終わったと思って安心してたのにー。

さっきの自分の行動は棚に上げて、

私だけ追及されるなんて理不尽だ!


「なんか取り調べされてるみたいで、…ヤな感じ。

別に悪いことしたわけじゃないのに」


ブツブツ文句言う私に、

どこまでも修ちゃんは威圧的で。


「言いたくないってコト?」

「まぁ、それもあるけど」

「けど?」


あぁもう、しつこいよっ!

修ちゃんってばこんなにしつこいタイプだったっけ?

そもそも言い訳しなきゃいけないような関係でもないし。

曖昧な返事でどうにかはぐらかそうとしても、

全然上手くいかない。

こっちもいい加減腹が立ってきて、


「こんなの、…修ちゃんに話さなきゃいけないことかな?

修ちゃんだってっ、話したくないことくらいあるでしょ?

聞かれたくないことあるでしょ?

さっきだって…!」


勢い余って出ちゃった言葉に、

しまったと口に手を当ててみても、時すでに遅し。


「さっきって…?」

「あ、いや、えっと…、」


咄嗟にごまかす言葉も見つからず、

言いよどんでいると、


「何?」

って、も1回聞いてくる、修ちゃんの口調が強くなる。