とりあえずの日除けに、

頭からバスタオルをかぶって、

サウナ状態の私の耳に

「修く~ん」

って、鼻にかかるような甘い声が聞こえてきて。

ま、まさか、だよね。

せっせと日焼け止めを塗る早川の陰に隠れて、

バスタオルをそっと持ち上げてのぞき見る。

変な汗がじわじわ出てくるのを感じながら、

声の主を確認した。

「待ってよ、修君。歩くの早いってば、ねぇ。」

ホルターネックの白のビキニを着て、

Tシャツ姿のカレの腕に絡みついてる、

スレンダーなカノジョ。

華奢な身体に不釣り合いなくらいの、

大きな胸が揺れている。

「早く戻らないと、オレが文句言われるんですよ。

 かき氷溶けちゃったらマズイっしょ。」

胸にかき氷を抱えて、

申し訳なさそうに言い訳しながら、

カレがカノジョを振り返って…。

「修ちゃん…」

早川が側にいるのも忘れて、声に出していた。

「え、何?知り合い?」

幸い私がどこを見て、

そう言ったのか分からなかったみたいで。

視線をさまよわせてるうちに、二人を見つけたのか、

「うぉっ。すげぇ、見てみろよ!

やっぱ白ってのは、ああいう人が、着るべきだよな」

自分で言って自分でうんうんと頷いている。

何よ。水着の女の子が見たいなら、

男友達と来ればいいでしょ!

興奮しちゃって、バッカみたい。

結局男はみんな、ああいう女に弱いってことなの?

こんなとこで会うなんて…。

修ちゃんは、あの人のことが好きなんだ。

あんな人…大人っぽくて、スタイルよくって、

きれいなあの人。

嬉しそうな顔して、笑ってたなぁ。

結構うまくやってるんじゃない。

そんなこと全然知りたくなかったのに。

そういえば、「レイナ」って、

名前を教えてもらった時も、そう思った。