「ホントにわかんないの?」

「ぃやっ!」


覗きこんでくる修ちゃんの、

表情が怖くって、

逃れようともがいてみても無駄だった。

逆に、両方の二の腕を、がっしり掴まれて、

向かい合うはめになり、

どうにも逃げられない。

何秒続いたかわからない沈黙を破ったのは、

私の鼻声だった。


「うぅっ…。痛いよぉ」


途方に暮れた私の目からは、涙が溢れて止まらなかった。

何が何だかわからないけど、修ちゃんが怒ってて、

その原因が私なんだってことはわかる。

だけど、理由を言ってくれなくちゃ、

どうしようもないわけで。


「うわ、かりん、なんでいきなり泣いてんだよ?
どこ?どこが痛い?腹か?」


焦って、慌てふためいてるけど、なんかズレてる。

痛いのは、お腹じゃなくて腕だし!

痛くしたの修ちゃんだからね!

わかってんのかな?


「なんでそんなコワイ顔してるの?
なんで怒ってるの?わけわかんないよ~」

私は涙を拭こうともせず、

修ちゃんに感情をぶつけた。

もう泣いちゃったんだし、

ガマンしたって意味ないもん。