「やっぱ、なんか違ったってゆーか。
たぶん、私が早川のこと、気になってたからかなーって!」

「は?」

「だからー、別れてよかったんだよ。
そーゆーの、相手にも悪いし。
で、晴れてフリーとなりましたので、
早川のこと、本気で頑張ってみよっかなって思ってるんだ!」

「へー、そうなんだ・・・。」

「そう!一ファンじゃなくって彼女目指します!」


胸を張って宣言するゆうきは、

なんだかとてもキラキラとしていて、

今の私には、うらやましくて。

こういうとき、何て言ったらいいのかな。

何か言わなくちゃって思うのに、言葉が出てこない。

頑張れとか、何とか、応援するような言葉、言わなくちゃって思うのに。

ぼーっとしてる私に、ゆうきはにっこり笑って言った。


「じゃあ、今日からライバルってことで、ヨロシクね!!」

「は?ライバル?」

「いいよね?」

「いいも何も、別に私はっ…、」


その後に、言おうとした言葉を飲み込んで。

『別に私は、早川のこと、好きじゃないから』

どうしてかな、言えなかった。

ゆうきが失恋して、また好きな人見つけて、

頑張るって言ってるんだから、それはイイことだ。

それなのに、なんだろうこのモヤモヤした感じ。

チラリと廊下の早川を見ると、楽しそうに友達と笑ってる。

ったく、ゆうきも、こんなののどこがいいんだろ?

ちょっとサッカーがうまくって、ちょっとカッコイイってだけで、

明るくて元気がいいって言えば聞こえいいけど、

口悪いし、うるさいし、ガキっぽいし。

ううん、私はもう、

それだけじゃないってちゃんと知ってる。


「イイやつだよね、アイツ」


気づいたら、そうつぶやいていた