「えっとあの、別にイヤだって言ってるわけじゃないんだよ。
私は、逆にラッキーっていうか、
ほら、こんなおいしーモノ食べれて、
…ねぇ、修ちゃん?一緒に食べようよ、ね?」

「ばーか!」


目の前でうつむいたまま、修ちゃんの肩が激しく揺れている。
笑いがこらえきれなくなったのだ。


「は?」

「今お前、泣きそうだっただろ?
引っかかってやんのー。」


やっと顔上げたと思ったら、

思いっきりあかんべーって、

嬉しそうに舌出しちゃって。

ったく、この男は…!

呆れて何も言う気になれない。

年上じゃなかったら間違いなく殴ってるところだ。

結局、肝心なことは、何も聞けなかったし。


「お前の言ってることが正解だよ。
一人でいたくなかった。
…悪かったな、付き合わせて」

何?いきなり!

不意打ちとか、ズルイでしょ。

急にトーンダウンしちゃって。

ため息とともに少しずつ、吐き出される本音。



ああ、今、ちょっと嬉しいって思ってしまった。
ごめんね、修ちゃん。


「ううん。
こういうのなら、いつでも付き合うよ。
おいしーもん」

「そっか」

「うん」



無理矢理の笑顔だったかもしれないけど、

今はそれぐらいしか、私にできることはなさそうだし。

放っておいたら、どんどん沈んで行きそうになる空気を、

なんとか浮上させようと、頑張ってみる。

修ちゃんがツライ時に、ほんの少しでも、

私を頼ってくれたこと。

嬉しいって思ってしまったお詫びも含めて、

その想いに応えたかった。

私にできることは、何でもしたいと思った。