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「おねぇちゃん!早くぅ!!」


『……分かってるってば!』


待ってくれ…せめて、名前だけでも!!


助けてくれた二人に礼を言いたくて
黒い仮面をした女の腕を掴んだ。


「……ッ…ゴホッ!!」


『…貴方、声が出ないの?』


俺の様子を見て分かったのか、
綺麗な朱色の瞳が俺を覗く。


「名前を…名前を聞きたがってるんです!」


声が出ない俺の代わりに
人の感情に敏感な親友が答える。