朱音side


涙を流しながら向かって来る錦の妹。
その手にはナイフが握られている。


あぁ…私も皆の気持ちに気付けなかったら
こうなっていたんだろうか。

目の前に居るのは過去の自分であり、
もしかしたら
今の自分になっていたかもしれない。


「私のせいね……。」


私の恨みが新たな恨みを生み出してしまった。


『お母さんッ!』


でも、死ぬ訳にはいかない。

家族の為にも
そして、蒼空と『約束』したから。


ナイフを振り払おうと切っ先を見据える。


ガッ!


「「ッ!?」」


私が払う前に
横から伸びた手がナイフを掴んでいる。


「真綺…止めろ。」


「おにい…ちゃん?」


錦、そして東条が私の両隣に立っていた。


朱音sideEND