◇◇◇

「篤哉って、料理上手だったのね」


結局、三人揃って済ませた夕食。
紗枝さんは、平らげた皿を前にして、何度もあっくんの腕前を誉めてみせた。

ふたりの会話には何となく入れなくて、汚れた皿をキッチンへ運んで洗っていると、紗枝さんが入ってきた。


「二葉ちゃん、私も手伝うわ」


腕まくりをしながら私の隣に立つ。


「あ、大丈夫ですから」

「遠慮しないで、義理とはいえ姉になるんですから」


……姉、か。
反射的に漏れた溜息に、「ごめん、先走り過ぎよね」と、紗枝さんが反応する。


「いえっ、違うんです、そういう意味じゃなくて……」


それじゃ、どういう意味だったんだろう。
自分でも分からなくて、言葉が続かない。


「私、今晩泊めてもらおうかな」


紗枝さんがポツリと呟いた。