「私の胃は、そんなに大きくないの」
「俺のカレーを食べるためなら、いくらだって大きく出来るだろう?」
今度は大まじめに言うから、何て言い返したらいいのか分からなくなった。
一体どういう理論?
たまにあっくんの頭の中が分からなくなる。
「訳わかんない」
「ごちゃごちゃ言わずに食え」
あっくんも強引だ。
お皿には、強制的にご飯が山盛りにされていく。
「そんなにいらないってば!」
それを急いで阻止する私。
こんなの、テレビで見るコントでだってない。
くだらない押し問答を繰り返しているうちに、何だかおかしくなってきて、ふたり揃ってケラケラと笑い出した。
「もー、あっくんといると、本当に飽きないよ」
笑い過ぎて、目に浮かんだ涙を指先で拭う。
「それはこっちのセリフ。二葉ほど、時間も忘れてバカなことを言い合える女はいない」
鼻で笑うと、ツンと額を弾かれた。