そうして愛情を持って接してくれるからこそ、あっくんへ募らせる想いが罪作りにしか思えなくて、やるせなくなる。
その感情を思い出すと、お父さんの顔もお母さんの顔も直視できなかった。
「お父さんは?」
「もう休んでるわ」
「そう。……あっくんは?」
本当はそっちの方が聞きたかったくせに、あくまでも“ついで”のように聞いてみる。
「部屋にいるんじゃないかしら。あ、そうだわ。明日と明後日、お父さんと出掛けてくるから、そのつもりでよろしくね」
「また、いつもの?」
お母さんは嬉しそうに頷いた。
恒例になっている近場の温泉への一泊旅行だ。
いくつになっても仲がいいんだから羨ましい。
いつか私にもそんな相手が現れるんだろうかと思いを馳せると、途方もなく遠い未来のような気がしてならなかった。
「お土産買ってくるからね」
再びテレビをつけて、お母さんの目はそちらにすっかり奪われてしまった。