「いえ、そんなことないです」

「……そうか?」

「何でも完璧に出来ちゃう人に魅力は感じませんから」


自分で言っておきながら、そのセリフに耳が熱くなった。
それでは、部長が魅力的だと言っているのと同じ。
つまり、告白してるも同然だ。


「冷めちゃいますから、食べましょ」


部長が三日月のようにシュっと目を細めるから、誤魔化すようにテーブルに着いた。

どうぞと箸を勧める。
部長は口に入れて味わうなり、「旨い」と顔を輝かせた。


「本当ですか!?」

「ああ。久々にまともな食事をしたよ」


しみじみと部長が呟く。

お世辞半分かもしれない。
ロールキャベツごときで一時間もかかるのだ。
料理下手は既すでにばれているはず。
それでも十分嬉しかった。

適量が掴めなくて、結局八個も出来てしまったロールキャベツ。