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「お待たせしました」


あれから一時間近くもかかって、ようやく完成した、人生初のロールキャベツ。
皿に取り分けて、部長の待つ部屋へ運んだ。


「部長!? どうしたんですか、その荷物は」


テーブルの脇の床に散乱した、本や小物類。
部長がちょっと渋い顔を段ボールから覗かせる。


「いや、少し片付けないといけないなと思ったんだけどね……」


ほとほと困り果てたという感じだった。
片付けるどころか、逆に散らかっていく一方に見えるのは気のせい?


「……それじゃ、部長さえよかったら、私が整理しましょうか?」

「いいのか!?」


途端に顔をパッと輝かせる。
まるで、おもちゃを買ってもらえることになった子供みたいだ。
思わず笑みを零してしまう。


「……俺、なんだかカッコ悪いな」


部長が今度はシュンと肩を落とした。