◇◇◇
「お待たせしました」
あれから一時間近くもかかって、ようやく完成した、人生初のロールキャベツ。
皿に取り分けて、部長の待つ部屋へ運んだ。
「部長!? どうしたんですか、その荷物は」
テーブルの脇の床に散乱した、本や小物類。
部長がちょっと渋い顔を段ボールから覗かせる。
「いや、少し片付けないといけないなと思ったんだけどね……」
ほとほと困り果てたという感じだった。
片付けるどころか、逆に散らかっていく一方に見えるのは気のせい?
「……それじゃ、部長さえよかったら、私が整理しましょうか?」
「いいのか!?」
途端に顔をパッと輝かせる。
まるで、おもちゃを買ってもらえることになった子供みたいだ。
思わず笑みを零してしまう。
「……俺、なんだかカッコ悪いな」
部長が今度はシュンと肩を落とした。