「夜はちゃんと食べてますか?」
「夜か……うーん、残業になると、ついコンビニ弁当に手が伸びるな」
鼻の下をこすって笑う。
「それじゃダメですよ。ちゃんと栄養のあるものを食べなくちゃ」
「じゃ、稲森に作ってもらおうかな」
いたずらっぽい笑顔を向けられた。
「えっ……」
やぶ蛇だったのかも。
まさかそうくるとは思わなくて、絶句してしまう。
「仕事のほうは今日の午後には一旦区切りもつくし、今夜、うちに来てくれる?」
デスクに両肘を突いて、組んだ手の上に顔を載せた。
私を見上げる爽やか過ぎる極上スマイルに、「はい」と、うっかり安請け合いしてしまった。
何が食べたいですか? なんて、リクエストまで聞く始末。
「それじゃ、楽しみにしてるよ」