明らかに怒ってる口調だった。
そして、その目は赤く充血していた。

……もしかして、寝ないで待っていたの?


「やだな、あっくん。私だって、もう二十六歳だよ? 朝帰りくらい――」

「ダメだ」


あっくんが私の言葉をキッパリと遮った。


「……どうして?」


聞き返す私に憮然とした顔で、「どうしても」とだけ繰り返す。
階段を降りて、リビングへと足を向けたあっくんの背中を追いかけた。


「あ、分かった。あっくんってば、ヤキモチでしょう?」


からかったつもりだったのに。
妹のくせに生意気なこと言うな、とでも言われると思ったのに。
足を止めて振り返った顔がやけに冷たくて、心臓がドキッと音を立てた。

……何?
どうして?

この前は、『彼氏作れ』的なことを言ったくせに。
そんな態度じゃ、本当にヤキモチみたいだ。
今さら、妙な期待を持たせないでほしい。