「俺たち、付き合おう」

「はい……?」


部長の思わぬセリフに目が点になる。
重なった視線は、好きな相手に告白する熱っぽさを感じるものとは違って、どこか寂し気で儚げなものだった。


「建設的な始まりとは、決して言えないけど」


……そっか。
部長もきっと、私と同じなんだ。

突然断ち切ることを命じられた想いをどうしたらいいのか分からなくて、自分で処理することもできない。
ただ、誰かに寄り添っていたい。
誰でもいいから、そばにいてほしい。

そいうことなんだ。
そんな気持ちは痛いほどに分かる。
篤哉ではない“篤哉”に抱かれた、夕べの私がまさにそうだったから。

あっくん以上に想える人に出会えないのなら、今は部長の恋人として甘えてしまいたい。


「はい、部長の彼女にしてください」


頷いた私の髪を部長がくしゃっと撫でた。