「同じ日に同じ場所で失恋とは、傑作だな」

「ほんとですね」


同時期に同じことを経験した者同士の変な同調。
一体感みたいなものに包まれた。

今までずっと秘めてきた想いを部長に話せたことで、少し気持ちが軽くなった気がする。
秘密の恋は、心の負荷が大きい。


「あのキーホルダー、その相手からもらったものなのか」

「そうです」


友達と行った旅先で買って来てくれたものだった。

四つ葉のクローバー。
幸せを二葉にあげる。
そう言って、あっくんは無邪気に笑ったっけ。
そのときのことを思い出すと、まだ胸が痛い。


「稲森……」


部長が急に神妙な顔つきになる。

急にどうしたんだろう。
黙ったまま、次の言葉を待った。